鋼管定着工法の概要及び特徴

OVERVIEWー概要ー

現在工事中に移転する必要が無く、業務を継続しながら工事が出来る『居たまま耐震補強工事』が求められています。「鋼管定着工法」は、これまでの耐震補強工事に数多く使用されている「あと施工アンカー」に替わり、既存躯体のかぶり部分に円筒状の溝を掘り鋼管を挿入して樹脂接着で固定する工法です。
本工法は、騒音・振動・粉塵等の工事インパクトが小さく、様々な用途の建物の耐震改修工事に適用可能で、『居たまま耐震補強工事』を高品質・低コストで安全に実現します。

FEATUREー特徴ー

削孔にコアドリルを使用するため、削孔時の騒音、振動、粉塵の発生が抑制され、終日機能している病院や医療施設・ホテル・デパートなどの商業施設や学校で『居たまま耐震補強工事』が行えます。
シャーコネクタを担う鋼管コッターは、あと施工アンカーと比較し1箇所当りの耐力が大きく本数を大幅に減らすことが可能であり、施工能率が上がることで工期の短縮が可能です。
既存躯体に仕上げモルタルが付着している場合、仕上げモルタルの健全性と強度確保の確認ができれば、モルタルを斫らずに残置したまま施工でき工期を短縮できます。
削孔溝の削孔深さが浅いので、鉄骨鉄筋コンクリート造建物の内蔵鉄骨に干渉しません。又埋設配管等を破損する危険が少ない工法です。
本工法は(財)日本建築総合試験所より、建築技術性能証明(GBRC 03-04号改6 2019年6月19日)を取得しています。

使用中の建物で耐震補強工事が可能

低騒音・低振動・小粉塵のため、終日機能している病院や医療施設・ホテル・デパートなどの商業施設や学校の耐震補強工事が安心して行えます。

  • 騒音測定結果

  • 振動測定結果

  • 騒音レベル

削溝時間の短縮

鋼管定着工法では、あと施工アンカーに比べて 、一構面当たりの施工時間は約1/5に短縮できます。

CO2の削減

鋼管定着工法では、あと施工アンカー工法に比べて、コンクリート削溝時の消費電力によるCO2発生量は約40%削減できます。

 鋼管定着工法による耐震補強工法

鋼管コッターを使用した耐震補強工法は6種類、①RC耐震壁、②枠付き鉄骨ブレース、③外側枠付き鉄骨ブレース、④RMブロック耐震壁。⑤UFCブロック耐震壁、⑥制震ブレースがオープン化され利用することできます。補強耐力、補強箇所、外観、運搬、施工などの様々な条件に対応した、最適な工法を選択することが可能です。

01.ーRC耐震壁ー

(GBRC 性能証明 第03-04号:2003年9月2日取得) 既存躯体と補強部材の接合部に鋼管コッターを使用した鉄筋コンクリート耐震壁による補強工法です。
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02.ー枠付き鉄骨ブレースー

(GBRC 性能証明 第03-04号:2003年9月2日取得) 既存躯体と補強部材の接合部に鋼管コッターを使用した鉄骨ブレースによる補強工法です。間接接合部に高靭性モルタルを充墳することで、割裂補強筋が不要となり施工性が向上します。
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03.ー外側枠付き鉄骨ブレースー

(GBRC 性能証明 第03-04号改3:2009年3月3日取得) 既存躯体と補強部材の間接接合部に鋼管コッターを使用した鉄骨造のブレースによる補強工法です。鉄骨ブレースを建物の外部に設置することで、室内の工事が不要となります。既製品の鉄骨ブレース(普通鋼)にも対応可能です。
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04.ーRMブロック耐震壁ー

(GBRC 性能証明 第03-04号改4:2010年10月8日取得) 既存躯体と補強部材の間接接合部に鋼管コッターを使用したRMブロック耐震壁による補強工法です。RMブロックを組積して、内部に高靱性モルタルを充填するだけで耐震壁を構築します。型枠工事を削減し、小スペースでの施工が可能です。
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05.ーUFCブロック耐震壁ー

(GBRC 性能証明 第03-04号改:2006年11月7日取得) 既存躯体と補強部材の間接接合部に鋼管コッターを使用したRMブロック耐震壁による耐震補強工法です。開口率が高い採光性・通風性のあるUFCブロックを組積して、耐震壁を構築します。小スペースでの施工が可能です。
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06.ー制震ブレースー

(CBL ID002-08号:2009年1月17日取得) 既存躯体と補強部材の接合部に鋼管コッターを使用した制震ブレースによる補強工法です。制震ブレースは川金テクノソリューション(賛助会員)の設計により鋼管定着工法の採用が可能です。
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 RC耐震壁

既存躯体と補強部材の接合部に鋼管定着工法を使用した鉄筋コンクリート耐震壁による補強工法です。
既存躯体のかぶり部分に円筒状に溝を掘り鋼管を挿入する工法で「居たまま耐震補強工事」を高品質に実現します。

  • 鋼管埋込み位置の探査

  • 円筒状の削溝

  • 鋼管取付状況

  • 鋼管設置完了

鋼管定着工法では鋼管自体の耐力が高いため、従来のあと施工アンカーによる工法と比べて設置本数を削減できます。既存の柱・梁と鉄筋コンクリート造耐震壁の間の接合部がすっきりと配筋出来ます。

  • あと施工アンカー工法

  • 鋼管定着工法

▲従来のあと施工アンカー工法と鋼管定着工法の配筋比較

 枠付き鉄骨ブレース

既存躯体と補強部材の接合部に鋼管定着工法を使用した鉄骨ブレースによる補強工法です。間接接合部に高靭性モルタルを充填する場合は、割裂補強筋が不要となり施工性が向上します。

  • 枠付き鉄鋼ブレースの適用例

  • 枠付き鉄鋼ブレース設置

▲枠付き鉄骨ブレースの適用例

  • 割裂防止筋有
    (割裂防止筋の配筋状況)

  • 裂防止筋無
    (高靭性モルタル充填時の配筋状況)

鋼管定着工法では鋼管自体の耐力が高いため、従来のあと施工アンカーによる工法と比べて、設置本数を削減でき、既存の柱・梁と構面内鉄骨ブレースの間の接合部がすっきりと配筋出来ます。

  • あと施工アンカー工法

  • 鋼管定着工法

▲従来のあと施工アンカー工法と鋼管定着工法の配筋比較

 外側枠付き鉄骨ブレース

既存躯体と補強部材の間接接合部に鋼管定着工法を使用した鉄骨造のブレースによる補強工法です。鉄骨ブレースを建物の外部に設置することで室内の工事が不要となり、居たまま施工ができます。

  • 梁側面の鋼管コッター設置状況

  • 建物の外側へのブレース設置状況

 RMブロック耐震壁

既存躯体と補強部材の間接接合部に鋼管定着工法を使用し、ユニット化したコンクリートブロック(以下RMブロック)を積み、その空洞部に鉄筋を配して高靭性モルタルで充填した増設壁により耐震補強を行う工法です。RMブロックを用いるため、少スペースの施工区画で、簡単にかつ速やかにRC壁と同等の耐力の耐震壁を造ることが可能です。
RMブロック耐震壁は、鉄筋と型枠を組んでコンクリートを打設する在来工法に比べて、型枠や仮設資材不要となるので、短工期での施工が可能です。

▲RMブロック耐震壁の適用例

  • ▲RMブロック

  • ▲RMブロック耐震壁立面図

  • ▲RMブロック耐震壁断面図

 UFCブロック耐震壁

既存躯体と補強部材の間接接合部に鋼管定着工法を使用し、UFC接合ブロック、UFCブロック、UFCピンおよびグラウト材で構成された耐震壁による耐震補強工法です。開口率が高い採光性・通風性のあるUFCブロックを組積し、美観に配慮した耐震補強工法です。現場内での運搬、組積等の施工性に優れ、小スペースでの施工が可能です。

▲UFCブロック制震ブレースの適用例


 制震ブレース
(株)川金テクノソリューション 

既存躯体と補強部材の接合部に鋼管定着工法を使用した制震ブレースによる補強工法です。制震ブレースは(株)川金テクノソリューション(賛助会員)の設計により鋼管定着工法の採用が可能です。

▲制震ブレースの適用例

「アドバンス制震システム」は2本のブレース部材と1本のダンバー部材で構成され、建物の層間に設置します。対角の接合部にピン接合された2本のブレース部材は、設計で算定された角度をもって中央でピン接合され、建物に水平変位が生じたとき、ダンバーは変位や速度に比例してエネルギー吸収量が増えるため、効率よくエネルギーを吸収します。

  • アドバンス制震ブレース

  • 制震ブレース設置状況

 鋼管定着工法の施工実績の概要 2021年3月31日時点455物件(PC工法158物件は除く)

  • 【建物用途別】

  • 【補強工法別】

鋼管定着工法は、低騒音、低振動、低粉塵の施工を特徴とし、病院、学校、ホテルなど静けさを求められる環境でも建物を使用しながら耐震補強工事が可能です。
本工法はさまざまな耐震要素(鉄筋コンクリート増設耐震壁や鉄骨ブレースなど)を設置可能なため、建物規模に合わせた補強設計が可能です。